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愛媛大学 理工学研究科

研究概要

組合わせ荷重を受ける基礎の荷重−変位モデル           

   目 次 
1 任意の組合せ荷重を受ける水平地盤上の帯基礎の荷重−変位モデル
2 水平加速度が水平地盤上の帯基礎の支持力特性に及ぼす影響
3 斜面上の帯基礎の支持力特性

4 関連発表論文リスト

任意の組合せ荷重を受ける水平地盤上の帯基礎の荷重−変位モデル

 基礎の設計法が性能設計へ移行するに伴い,塑性変位を含めた基礎の変位予測法が必要となっている。最近では,簡便かつ精度の良い変位予測法として,基礎−地盤系をマクロな要素として捉えた弾塑性モデルが発展しつつある。そこで,帯基礎について一連の模型実験を行い,降伏局面と塑性ポテンシャルを同定し,非関連流れ則による弾塑性モデルを構築した。

(1)変位は弾性成分と塑性成分から成る。(2)降伏曲面は支持力曲面と相似で常に一定形状とする。(3)降伏曲面の大きさは塑性鉛直変位vpのみに依存し,単純鉛直載荷時のV-vp曲線で規定される。(4)塑性ポテンシャル面は常に一定形状とする。なお降伏曲面f,塑性ポテンシャル面Qは以下の式を用いた。


 鉛直載荷実験は鉛直支持力Vmaxと,荷重−沈下曲線から硬化関数を定めるために行った。図2に荷重−沈下曲線とその近似曲線を示す。Vmaxは1450~1600Nとなり,硬化関数は塑性変位vpの関数として以下の式とした。

 Swipe Testの実験条件は,まず所定の鉛直荷重まで鉛直載荷を行い,次いで鉛直変位を一定に保持しつつ水平または回転変位を与えるものであり,Swipe時の荷重経路はほぼ降伏曲面に沿う。従って,様々なVレベルでSwipe Testを行うことにより降伏曲面形状が得られる。

 Radial Testの荷重から変位予測を行った結果の例を示す。ピーク後はやや過大に変位を予測するものの,ピーク前はうまく変位の予測ができている。

水平加速度が水平地盤上の帯基礎の支持力特性に及ぼす影響 

 堤体内の液状化に関する研究や対策工法の検討は我が国ではほとんどされてこなかった。米国ではサンフェルナンドダムの液状化による決壊を機に研究がされていたが,釧路川や東北の事例とは被害メカニズムを異にするものである。

 日本は世界有数の地震大国であることから,地盤に作用する地震時慣性力の影響を考慮する必要がある。しかしながら,地震慣性力が地盤の支持力特性に及ぼす影響に関する実験的研究事例は極めて少ない。そこで,地震時の荷重−変位モデル作成の第一段階として,地盤に作用する水平加速度が密な砂地盤の支持力特性に及ぼす影響を明らかにすることを目的として模型実験を行った。遠心模型実験装置を用いて地盤に水平加速度を作用させる実験,及び地盤を傾斜させて水平加速度を作用させる十け実験,及び地盤を傾斜させて水平加速度を作用させる実験を行い,砂地盤上の帯基礎の鉛直荷重支持力特性(モデルの硬化則)と降伏局面に及ぼす水平加速度の影響を調べた。

その結果,次の結論が得られた。
@極限支持力・初期地盤反力係数は水平加速度の増加と共に減少し,その減少率は分割法による解析結果と良い対応を示す。
A除荷剛性は水平加速度が増加しても変化しない。
Bマクロエレメント法の硬化関数である鉛直荷重−沈下曲線は,水平加速度の増加と共に,極限平衡法で得られる地震時支持力低減率に応じて荷重強度を低減したものとなる。


斜面上の帯基礎の支持力特性

 マクロエレメント法による基礎の荷重−変位モデルを構築するために,斜面上の基礎の載荷試験を行い,鉛直荷重−鉛直変位関係(硬化則)および降伏局面の形状を調べた。また,斜面肩の基礎の振動台実験を行い,実験結果とマクロエレメント法による予測結果を比較し,モデルと変位予測法の妥当性を検証した。
















発表論文リスト

古川直樹,岡村未対(2008):組合せ荷重を受ける帯基礎のマクロエレメントモデル,第44回地盤工学研究発表会

沖俊貴,岩本一誠,岡村未対(2009):水平加速度が砂地盤の鉛直支持力特性に与える影響,第45回地盤工学研究発表会

菅田伯忠,岡村未対,二神治,芳ノ内信也(2008):砂斜面上帯基礎の動的支持力の実験的研究,第44回地盤工学研究発表会