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愛媛大学工学部 環境建設工学科

社会基盤の性能評価・劣化予測に関する研究

近年、橋梁の老朽化の問題が顕在化しており、各自治体では管理している橋梁の劣化点検を定期的に行っています。これらの結果から、将来の橋梁の劣化を予測することで維持管理計画の策定に活かそうという試みは多くなされていますが、全く予測が当たらないものであったり、あるいは利用が非常に難しいものであったりするため、必ずしも実務で有効活用されているとは言い難い現状にあります。そこで、階層ベイズモデルや構造方程式モデリングなどの統計的手法、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)の機能をフルに組み合わせることで、「使い物になる劣化予測手法」の構築を目指しています。


また、将来の損傷状態がどうなるかを予測していても、本来知りたいはずの将来の耐荷・耐震性能を予測していないという問題があります。この問題の解決のため、上記の劣化予測結果から橋梁モデルを確率的に構築し、そこから耐荷・耐震性能の将来の予測範囲を確率的に表現することを目指しています。こうすることで、構造物の危険度や、コスト・リスク・便益などを統合的に考えた社会基盤マネジメントが可能となります。


画像処理によるひび割れ検出手法に関する研究

コンクリートやアスファルトを撮影した画像からひび割れを検出する試みはよく行われていますが、そのいずれも精度が低く、また膨大な計算時間を要するものとなっています。 本研究室では、画像解析に近年注目されている人工知能技術(ディープラーニングなど)を組み合わせることで、比較的短時間に、しかし高精度にコンクリートやアスファルト舗装のひび割れを検出することのできる手法を開発しています。



また、MMS(Mobile Mapping System:モービル・マッピング・システム)やGIS(Geographic Information System:地理情報システム)と組み合わせることで、車を走らせるだけで街の道路の損傷度を自動判定するシステムを構築中です。これにより、危険な舗装、修繕が必要な舗装を優先的に補修するといった舗装マネジメントが容易となります。


振動計測と人工知能による損傷検出

近年、橋梁の老朽化が問題となっており、その安全性を評価する技術が求められています。そこで本研究は、橋梁の損傷を精度よく、かつ安価に検出することの可能な手法を提案することを目的としています。従来は、力学的な理論を基に固有振動数などの計測結果を解釈するという方法で損傷の検出を試みていましたが、単純化のための仮定が多々含まれる力学的理論で再現できるほど実橋梁の損傷は単純ではなく、適切な検出ができないことが問題となっていました。 そこで本研究では機械学習により、計測結果をビッグデータとして解釈し、統計的に損傷を検出する手法を開発することを目指しています。


また、コンクリートの腐食などによる損傷が振動特性に与える影響についても調べています。腐食損傷度や載荷による損傷度と固有振動数の関係はこれまで明確ではありませんでしたが、綿密な振動実験や、および損傷を模擬したコンピュータシミュレーションによりその傾向をとらえつつあります。


腐食した鋼部材の残存強度に関する研究

鋼橋は現在多く存在していますが、雨や潮風の影響で鋼橋を構成する部材の腐食が進行しており、その結果として部材断面の減少による強度の低下が大きな問題となっています。このような鋼橋を効果的に維持管理するためには、腐食した鋼部材の強度を精度よく評価することが重要です。本研究室では、実際の鋼橋から切出した腐食鋼材の腐食状態の調査、強度試験や理論的な研究により、腐食鋼部材の強度を精度よく評価する方法の開発を行っています。


厚肉斜板の解析解の導出

厚肉斜板は斜橋など様々な構造物に構成要素として用いられており、その解析手法として、これまでに様々なものが提案されています。しかしそれらは数値的手法に依存したものであり、解析的手法は存在していません。そこで本研究では、Mindlin理論などのせん断変形を考慮できる理論をポテンシャル関数の枠組みで定式化することで、級数解の導出を行いました。この結果は、厚肉斜板を構成要素として持つ構造物の設計指針などの提案に役立てることが出来ると考えています。

材料の不均質性が構造物の不均質性に与える影響

特に発展途上国などでは、クオリティコントロールが強くなされていないため材料の不均質性が大きく、設計通りに建築したとしても想定の性能とならない可能性が多くあります。本研究では、現地で計測した材料の不均質性をコンピュータシミュレーションモデルに導入することで、不均質性が最終的な性能にどのような影響を与えるか調べています。